指針
若狭町が直面する課題
福井県平均に比べ早い高齢化
若狭町が誕生した平成17年の人口は、16,780人でした。平成22年の国勢調査では16,104人となり、5年間で676人の人口が減少しました。人口推計では、平成3年には15,000人を割り込むと推計され、福井県に比べ早いスピードで人口減少が進みます。人口の減少は、経済活動など住民への影響が大きく、地域づくりにおいても大きな課題となっています。
産業の衰退と後継者問題
若狭町の第1次産業の就業人口は全体の11,7%を占め、国、福井県と比較すると高い割合となっています。第1次産業は、食糧の生産に直結しているとともに、自然をはじめとする地域資源などを保全する役割を担っており、若狭町のみならず国全体においても重要な産業となっています。若狭町の第1次産業の核となる農業は、水稲栽培と福井梅などの果樹栽培が中心で、水稲栽培については、県の嶺南地域の中ではトップの生産量を誇り、福井梅については日本海側で最大の産地となっています。しかし、収益性の低下などにより耕作面積、農家数とも減少し、後継者不足に悩まされ、農地などの産業資源が保たれない状況が危惧されています。
特徴を出し切れていない地域産業
第1次産業については後継者を育成することが重要であり、産業資源の魅力を高めることや観光産業と第1次産業との共存など、地域産業全体が一体となった取組みが必要となります。
今後様々な取組みを行い、更に地域産業を発展させていくことが課題となっています。
本事業の基本方向
若狭町では、85集落と8地区でそれぞれ特色ある集落・地区運営を行っており、今後、地域主権改革などの進行により、その役割は大きいものとなってきます。しかし、就業構造の変化と勤務形態の多様化、個人の価値観の拡大などにより、住民コミュニティ意識が変化していますので、地域を担う活力が衰退し、地域活動の減退・自治機能の低下が危惧されています。
現在、取り組んでいる「産業振興」や様々な「まちづくり施策」等、あらゆる町政の基本に集落の活性化があることから、本事業では、『都市からの若者の就農・定住を促進し、集落を活性化する』ことを大きな目標としています。その成功のためには、地域を熟知した活力溢れる運営体制の構築と、永続・安定的に都市や他地域から人材が流入し、本事業をサポートするような都市ネットワークの形成という、二つの課題に取り組む必要があります。
若狭町農村総合公園を運営する農業生産法人は、自立志向を持ち、活力ある人材で構成されるとともに、地域での生産に熟知していることと、研修生に対し、若狭町が持つ空気・価値観を直接伝えることが欠かせません。
そのためにかみなか農楽舎を、地元(地域住民)、民間企業(類設計室)、行政(若狭町)で組織化し、後継者の育成を行っています。また、農業経営の強化や都市とのネットワークづくりのため、民間企業の活力とノウハウを活用すると共に、若狭町の魅力を町外にPRするため、農業体験学習事業を同時に実施し、都市との交流と農産物の直販を促進しています。
本事業の特徴
「若狭町農村総合公園」を拠点施設として人材育成を行う
若狭町では、「若狭町農村総合公園」を拠点施設として位置付け、「かみなか農楽舎」が就農希望者のニーズを分析・把握し、やる気のある研修生の募集に努めるとともに、経営感覚も身につけた若狭町における実践的な農業者の育成を行っています。
「かみなか農楽舎」が行う人材育成とは
「かみなか農楽舎」が行う人材育成とは、都市の若者に“農業・農村再生の担い手”を期待して行う2年間の就農定住研修事業です。
本事業は、農業・農村再生に可能性を感じた若者に対して2つの研修を実施します。1つは農業栽培等の具体的な技術研修で、もう一つは農村生活の研修です。農村生活の研修では生活のリズムを獲得し、協働意識を育成するために共同・自炊生活を取り入れ、かつ地元集落に溶け込みながら生活をしていきます。
また、かみなか農楽舎が行うインターンシップ事業、農業体験学習事業等の主要な事業も社員と一緒になって取り組みます。
それにより、人と人との信認関係を形成しながら、町内外のネットワークも構築し、スムーズな就農定住に繋げていきます。
「農的生活」という新しいライフスタイルを発信する
農業は営みの原点であり、「つくる喜び」「収穫の喜び」があります。そのため、都市には、農業・農村に「癒し」を求める層が多くあります。本公園では、町内外の方々に「癒し」と「くつろぎ」を感じてもらえる農的空間を提供し、人と人とのふれあいを深めることができるプログラムを積極的に組み込むことにより、若狭町ファンの拡大を目指していきます。
経緯
農村総合整備計画の経緯
- 平成7年3月
- 「第3次上中町総合開発計画」策定
固有の資産活用により複合的産業を育成し新しい風を育むまち
→観光レクリエーションエリアの設定と施設整備(嶺南牧場周辺を農業公園ゾーンと位置付ける)
農業の近代化により就業機会の拡大を図り活力あるまち
→農業の振興(後継者をはじめ農業問題に対する意識高揚と旧上中型農業の推進)
- 平成10年3月
- 上中町農村総合整備計画書」(国土庁総合開発計画)策定
「第3次上中町総合開発計画」を基本計画とし、町内全域を対象に、農村の将来像を策定
→農業振興と観光機能をもった「農村総合公園」の整備を計画
- 平成11年3月
- 「農村総合整備計画」の策定
「上中町農村総合整備計画書」(国土庁総合開発計画)と「第3次上中町総合開発計画」を基本計画とし、農村総合公園の整備を交流拠点施設の整備、地場産業活性化のための施設整備と位置付ける
- 平成11年4月
- 「農村総合整備事業」着手(~平成18年度)
農村生活環境基盤整備事業より着手 (あじさいふれあい公園/ゲートボール場)
- 平成12年3月
- 「第3次上中町総合開発計画」後期計画策定
農村総合公園の整備
後継者育成と法人化の推進
- 平成13年4月
- 「農村総合公園整備工事」に着手
- 平成13年5月
- 体験学習事業のプレイベント開催
- 平成13年9月
- 末野地区農地の賃貸借規模と町・末野地区・類設計室・類農園・経営陣の出資構成決定。
- 平成13年10月
- 「農業生産法人」設立
末野地区農地の賃貸借仮契約を行い3haの転作開始
研修生募集面接、4名採用決定
研修生募集面接のうち担い手農家の指導による新規就農候補生2名決定
- 平成14年4月
- 「農村総合公園・かみなか農楽舎」事業開始
施設整備事業費(農村総合整備事業等)
施設等 | 事業費 |
用地整備 | 8,800千円 |
コミュニティ施設(研修棟) | 120,000千円 |
集落農園管理施設(倉庫棟) | 76,100千円 |
体験田・畑 | 128,200千円 |
多目的農業体験場(園芸ハウス) | 24,000千円 |
用地買収・補償等 | 75,679千円 |
農業用機械等 | 37,000千円 |
体験調理器具等 | 5,000千円 |